続報・・破壊され一部失われた江戸城築城石採石地/細久保石丁場

東伊豆町大川地区に広がる細久保石丁場です。宿泊施設による施設侵入のためのコンクリート道施設により、一部破壊されてしまった石丁場の続報です。

東伊豆町大川地区細久保石丁場。四百有余年を経た角石切出し現場。

過日、東伊豆町長を前に文化財を管理する教育委員会に「五月に破壊行為の報告後、なぜ四ヶ月以上も現場確認すらしないのか?」と一喝。今後の適切な対応について申し入れを行いました。

数日後、同町文化審議会より教育委員会が現場確認を実施する旨の連絡を受け、同行したのです。待ち合わせ時間、午前十時に不安感を持ちました。先方は宿泊施設・・、チェックアウトの時間では無いだろうか・・。待ち合わせ場所にて教育委員会担当者に「先方に連絡を入れてあるか」と問い合わせたところ、「入れてありません」と不安的中の回答。破壊現場は公道や雑木林内から容易にアクセス可能な場所ですが私有地内です。現場確認を中止するという判断もありましたが、ようやく重い腰を上げた教育委員会・・、不安感を抱きながら現場に向かったのです。

角石後方に見えるパイプは宿泊施設敷設のパイプです。

破壊された石丁場の現場確認中、宿泊施設のスタッフに声を掛けられました。
「何ですか」との問いかけに「石丁場現場確認です・・。」スタッフは明らかに怪訝な顔。宿泊施設の経営前に同地区区長との取り決めによって、敷地内の江戸城築城石について動かさず、傷つけず、破壊せずであったことを伝えたところ、宿泊施設スタッフは「そんなことは知らない、築城石だか何だか知らないが関係ない、言いたいことがあるならオーナーに言ってくれ、お前ら不法侵入だ」と騒ぎ立てる始末。貴重な文化財を破壊したという意識など全くなしなのです。先方に連絡せずに現場確認を行った教育委員会にも非があることは確か、早々、現場を後にしたのです。

先日、東伊豆町文化審議会が開催された模様です。筆者は文化審議委員会員ではありませんので出席していませんが、宿泊施設の石丁場破壊行為が報告され、今後の対応について審議されたと聞きました。
宿泊施設に対しては今後、破壊行為を行わないよう申し入れると同時に埋蔵文化財包蔵地指定にむけて説明を実施。また、同町内に点在する私有地内石丁場についても埋蔵文化財包蔵地指定に向けて検討、もちろん町有地内石丁場についても埋蔵文化財包蔵地指定を行うことを確認したようです。
更に江戸城築城石石丁場を有する近隣自治体や関連団体、静岡県とも連携していくこととし、今後の石丁場保全についてシンポジウムの開催を計画する旨となりました。

ようやく、東伊豆町の江戸城築城石石丁場保全に向けてスタートラインに付くことができました。以後、動き出した行政が再び傍観者にならないよう、常に当事者として意識を持つよう情報提供していく所存です。

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