東伊豆町大川地区には江戸城築城石採石の大規模な石丁場が存在しています。今まで現認されていた石丁場以外の未踏査エリアから新たな刻印石が発見されました。
発見場所は、大川に存在していた国労教育センター跡地直下です。JR線とは直接縁の無い東伊豆町大川に、なぜ国労の施設があったのでしょうか?現在は大規模太陽光発電の建設工事が始まり、大型車両が現場に出入りしている状況となっているのです。
大丁場がある谷戸山山麓の沢を隔てた対岸が工事エリアであるため、石丁場の存在は予測できていましたが、平成八年・東伊豆町教育委員会発行「東伊豆町の築城石」では未踏査となっていました。
そんな状況下、刻印石発見の一報が飛び込んできたのです。早速、現場確認に・・。
大規模太陽光発電工事現場直下、繁茂する笹藪の中から突然姿を現した巨石の上面に見事な刻印が刻まれていました。
刻印は「○にた」。
熱海、朝日山石丁場で多数確認されている刻印に近似していますが、筆者自身、東伊豆町大川地区では初見の刻印でした。今まで確認されている古文書により「○にた」の刻印は黒田長政の担当石丁場とされていますが、黒田家が東伊豆エリアで採石を行った形跡が無いのです。四百有余年の歴史を紐解く新たな発見に繋がるかもしれません。
しかし、新発見刻印石直上では太陽光発電の工事が進行中。付近の未踏査エリアを早急に調査しなければ、貴重な石丁場の破壊は免れないでしょう。
東伊豆町教育委員会には既に情報提供されていますが現場確認すら実施されず、太陽光発電の工事が始まっている状況も把握していないというお粗末な対応となっているのです。
刻印は非常に鮮明で大川地区、他のエリアで見ることが出来る刻印に比べ保存状態では最も良い状態であると思われます。
限りあるエネルギー資源から、エコエネルギーに移行することは大切なことだと思います。しかし、いかなる理由があっても貴重な歴史文化遺産を破壊するようなことがあってはなりません。