破壊され一部失われた江戸城築城石採石地・・東伊豆町大川地区・細久保石丁場。

掲載した写真は、2015年12月に撮影した静岡県東伊豆町大川地区の細久保石丁場群に存在する加賀藩前田家担当と思われる石丁場跡です。2017年8月現在、残念ですが、この風景を目にすることは出来ません。同敷地内に存在する宿泊施設の破壊行為により石丁場が失われてしまったのです。
二枚目写真の左側に宿泊施設に続く舗装路が確認出来ます。この舗装路の上方に新たなコンクリート道が造成されてしまったのです。新たなコンクリート道の造成箇所は、掲載した写真の江戸城築城石採石残石が残る貴重な石丁場内。破壊を確認した日、あまりのショックに写真を撮ることさえ出来ませんでした。

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該当場所で宿泊施設の営業が開始する直前、当時の東伊豆町大川地区区長と宿泊施設経営者との間で面談が行われ、宿泊施設経営者に対して区長より「町内に残る江戸城築城石の石丁場は大変貴重な文化財であるから、石丁場内にある残石は一切動かしたり、破壊しないこと」と強く申し渡し、宿泊施設経営者も了解の上、営業を開始した経緯があります。
しかし宿泊施設経営者は、この約束を遵守せずコンクリート道を造成し、貴重な石丁場を破壊したのです。

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2017年5月、宿泊施設による破壊行為確認直後、同町文化財を管理する東伊豆町教育委員会に報告を行いました。未だに現地確認さえ実施しないお粗末さに言葉も出ません。
また、小田原市、熱海市、伊東市の江戸城築城石採石石丁場が国の史跡に認定されましたが、当然それぞれの行政は点在する石丁場を埋蔵文化財包蔵地に認定しています。ところが東伊豆町の行政は石丁場を町の文化財にすら指定しないだけではなく、地権者とのトラブルを避け、埋蔵文化財包蔵地への指定も拒んでいるのです。

例えばですが・・、石丁場が存在する土地の地権者が石丁場の現状維持を確約していただけるなら固定資産税を免除するとか、保全に関わる助成金を拠出するといった方法は採れないものでしょうか?日本を代表する城郭「江戸城」と「江戸の町造成」に関わる貴重な石丁場です。国民の文化財といっても過言ではないでしょう。

貴重な石丁場の破壊行為を行う宿泊関連企業と保全のための方策を実施しない行政。怒りの矛先を何処に向ければイイのやら・・・。

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